黒川紀章氏の名建築 中銀カプセルタワービル見学

首都高からこのユニークな建物を見たことがある人もいるのでは。
銀座にある、中銀カプセルタワービル(Nakagin Capsule Tower)は黒川紀章氏が設計したメタボリズム建築の代表作。(1972年=昭和42年竣工)
カプセルを交換して”新陳代謝”を繰り返す思想により建てられたが、約50年たった今でも一度も交換されたことはない。

先日、中銀カプセルタワービルを見学してきた。

中銀カプセルタワーは、日本より海外からの評価が高く、海外のメディアやファッション誌にも使用されることが多い。ハリウッド映画「ウルヴァリン:SAMURAI」やアメリカの人気ドラマ「HEROES REBORN」などにも登場している。
最近では東京オリンピック期間中、フランス国営放送で中銀カプセルタワーが紹介された。

Nakagin Capsule Tower -Ginza, Tokyo
建物はツインタワーになっており、140戸のカプセルがビスで留まっているというすごい建築物。剥がれた外壁の塗装が歩道へ落下するのを防ぐために外側にはネットがかけられている。

とにかく老朽化が激しく、廊下も所々、雨漏りしていた。

まず、「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」代表で複数のカプセルを所有するオーナーの前田さんから話を聞く。
ビルのA棟とB棟の渡り廊下で、カプセルの説明や居住者の話を聞いた後、部屋を案内してもらった。見学ツアー参加者も現在借りている住人も女性が多いそうだ。ちょっと意外。

写真でよく見たお部屋を見学!

1972年当時の「近未来的」な内装を残す部屋。
部屋は思ってた以上に狭く、わずか10㎡の空間(4畳半もない)

昔のSF映画に出てくるような、1972年当時の最新設備を搭載した部屋がクール!
宇宙船や船室の様なデザインは、まるでキューブリック監督の映画にでくる近未来の部屋のようだ。

SONYのテレビ、オープンリールデッキ、ラジオ、電話はオプション販売。
当時の日本では、備え付けの棚やデスクもおしゃれで斬新なインテリアだっただろうと想像する。ビジネスホテルの部屋を分譲販売したイメージ。

今、ネットで調べたら、フォークソング「神田川」のレコードリリースが1973年。
当日の賃貸アパートは4畳半の和室、風呂なし、トイレも共同がスタンダードのようだから、
分譲とはいえ、中銀カプセルタワーがいかに最先端だったか伺える。

販売当時のマンションのパンフレット(復刻盤) 1,000円で販売
中に図面もあり。

中銀カプセルタワーは海外の旅行ガイド「Lonely Planet」にも取り上げられ、多くの外国人が訪れる観光スポットとなった。2015年に民泊禁止になるまでは、Airbnbが発表する『世界の人気宿泊先トップ40』にアジアで唯一ランクインしており、海外での人気も高い。

フランシス・コッポラ監督やキアヌ・リーブスもプライベートで見学しに来たそうで、
特に映像関係者から絶大な人気を集めている。
私が中銀カプセルタワーを知ったのも、海外のフォトグラファーのInstagramの写真だった。

ブラインドは扇形。

首都高を見下ろす窓からの景色もなんだか近未来的に見える。

ユニットバスのドアと円い窓も船室みたいなデザイン。

建物の構造上、カプセルの交換はもちろん、排水管の交換もできなかったそうで、現在お湯はでない。

カプセル所有者や現在マンスリーで借りている人は、主にオフィスや趣味の空間として借りているそうだ。建築関係はもちろん、アート関係やミニマリストなど狭い空間を愛するユニークな住人同志の交流が盛んだというのもこの建物ならでは。

残念ながら日本では再建、保存は難しいため、中銀カプセルタワービルは2022年解体が決まっている。国内外で愛された昭和の名建築はもうすぐ見納めとなる。
いくつかの海外の美術館からカプセル保存のオファーがきているそうだ。
日本でも金沢21世紀美術館や黒川紀章建築の国立新美術館などで展示してほしい。

<中銀カプセルタワー見学ツアー>
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト 
各回約45分、参加費:3000円/人(保存再生PJの活動費に充当させていただきます)

テレビ東京「新美の巨人たち」でオンエアー
8/21(土)22:00~
黒川紀章『中銀カプセルタワービル』×田辺誠一

中銀カプセルスタイル: 20人の物語で見る誰も知らないカプセルタワー(Nakagin Capsule Style)



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