富岳三十六景だけじゃない「北斎づくし」

オリンピック開会式の日、東京・六本木ミッドタウンで開催中の「北斎づくし」を観に行ってきた。20歳で浮世絵師としてデビューしてから90歳で没するまでの70年間、常に挑戦を続けて森羅万象を描き抜こうとした画狂の絵師・葛飾北斎(Hokusai)
その生誕260年を記念し、代表作である『北斎漫画』、「冨嶽三十六景」、『富嶽百景』の全ページ・全点・全図コンプリート。

「北斎づくし」展
まずは、北斎漫画を全て展示。

7月の開催2日目。ミッドタウンホールは緊急事態宣言中の美術展とは思えないほど、客を入れ過ぎ!こんなに混んでるにも関わらず入場制限はおろか、当日券まで販売している主催者にびっくり。わざわざ日時指定券を購入していたのに意味がない。

人が多すぎて中々列が進まなかった。全ての作品を順番に見ているとこのコーナーだけで2時間はかかってしまいそうだったので、所々飛ばして後ろから覗いて観た。

北斎が森羅万象を描いた全15編の絵手本。
江戸の風俗、職人の作業の様子を始めとして、動植物、風景、建築、人物、故事から妖怪に至るまで、約3,600図が生き生きと描かれている。
とにかく絵の完成度が高い!

絵の上手さはもちろん、時には人物描写が滑稽。漫画の原点だと言える。

もし鳥山明が江戸時代に生きていたらどんなイラストを描いただろうか。北斎を超える天才アーティストだったかもしれない、と思った。

「踊独稽古」 ※こっそり練習するための本

江戸時代の「踊ってみた」
カラオケでもダンスでも恰好がつくようになるまでは、一人で練習したいのは江戸時代の人も同じ。

北斎漫画は売れ行きも好調だったことから、あっという間にシリーズ化が決まったそう。
北斎の才能ばかりではなく、現代のヒット商品の仕組みも、この時代からできていたのは興味深い。

「冨嶽三十六景」全作品の展示は撮影禁止。 
(こちらはミュージアムショップで購入したポストカード)
この展示室の照明が暗いのは別に良いが、各作品のタイトルと説明分の文字が小さいうえに、額縁の影になってて暗くて文字が読めないほど。改善してほしい。

『北斎漫画』「冨嶽三十六景」をはじめとする、展示作品の高精細アーカイブデータを用いた、超没入シアター。展示作品から飛び出した図像の数々が縦横無尽に往来。

馬琴と北斎、ゴールデンコンビの元祖サイキックノベル

展示の仕方がクール

最後に「富岳百景」の展示

「冨嶽三十六景」刊行から間もない時期に出版されたのが墨で書かれた絵本「富岳百景」。
北斎ばかりでなく、富士山に魅了されるのは現代人も同じ。

展覧会図録。展覧会をダイナミックに体感できる超大判の特製カタログ。

ミュージアムショップにはTシャツや豆皿、蕎麦猪口など、北斎作品のコラボレーション作品が色々あった。

以前、他の美術館で北斎の「冨嶽三十六景」は全て見たことがあるが、今回は北斎漫画が良かった。江戸時代のエンターテイメント作品だ。
北斎漫画を観て、もし北斎が現代に生きていたら、人気漫画家かクリエーターになっていただろうなと想像した。現代に例えるなら手塚理治虫か鳥山明か。
葛飾北斎と言えば、冨嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」が有名だが、北斎漫画の絵の上手さに感心した。

【北斎づくし】
<会期>2021年7月22日(木・祝)~9月17日(金)
 ※休館日:8月10日(火)、8月24日(火)、9月7日(火)
<場所>東京ミッドタウン・ホール

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