昭和レトロな四万温泉でほっこり<群馬県>

群馬県の伊香保温泉で1泊した翌日、四万温泉(ShimaOnsen)へ移動した。
草津、伊香保に比べると、四万温泉は関東在住者にもあまり知られていない地味な温泉地だろう。旅行好きな私でも伊香保温泉に行く前まで知らなかったほど。
伊香保温泉をネットやインスタグラムでチェックしている時に、四万温泉のレトロな温泉旅館、積善館(Sekizankan)の写真を見つけた。古い木造建築が好きな私はぜひこの老舗旅館を写真に収めてみたいと思い四万温泉まで足をのばした。他にも昭和レトロな商店も多いので、それも楽しみだ。

JR渋川駅から特急草津号で20分、JR中之条駅で下車、そこから関越バスで40分。
中之条はアートにも力を入れていて、中之条ビエンナーレが2年ごとに開催されている。
中之条駅の改札を出るとすぐ目の前に四万温泉行きのバスが止まっていた。バス停以外はコンビニも土産屋も何もない駅。
コバルトブルーの四万川が流れる、山間の静かな温泉地、四万温泉へ到着したのはお昼頃。

終点の四万温泉の少し手前の「桐の木平(きりのきだいら)」のバス停で下車してみた。桐の木平商店街は昭和ノスタルジーな商店が並び、横には四万川が流れるのどかなメインストリート。殆ど人は歩いていないし、シャッターの閉まっているお店も多い。

四万温泉の案内所である四万温泉協会でレンタル自転車の貸し出ししているか聞いてみたが、冬季(3月まで)は雪があるためレンタルしていないという。日帰りの私は前日の伊香保温泉のお土産が重いのでコインロッカーを探したがこの街にはないそうだ。近くの田吾作という焼き鳥屋にコインロッカーがあるというが、半開きのシャッターからいくら呼びかけても誰も出てこなかったので預けられなかった。

郵便局の前に塩之湯飲泉所がある。この温泉は飲める。

桐の木平商店街には、昭和時代が色濃く残る商店がいくつかあり、焼きまんじゅうのお店や柏屋カフェもあった。残念だったのは、事前に写真で見た昭和レトロなマネキンとレトロな衣料品のある日用雑貨店「まるみや」が改装工事のためシャッターが閉まっていたことだ。
柏屋カフェには帰りに寄ることにする。

焼きまんじゅう「島村」

川の水がきれいな四万川、真っ青な四万湖ではカヌーもできて、四万温泉は温泉街というより自然景勝地。夏に来てみたい場所だ。

四万グランドホテルの前にある「河原の湯」(OPEN9:00-15:00)はコロナ感染拡大防止のため休業だった。群馬の山間部の公共浴場はコロナ感染拡大防止のため、冬季は雪のため休業中の施設が多い。散策するなら4月以降に行った方がよさそうだ。

四万温泉のバス停は木彫りのカモシカ。ほっこりする。

路線バスの終点「四万温泉」四万グランドホテルの前。古い木造建築や石垣がなかなか良い雰囲気だ。東京から四万温泉行きの直行高速バスもここに午後到着する。ここから温泉街になる、と言っても旅館以外には饅頭屋が1件あるくらいで、お土産屋や観光客向けの飲食店も特になかった。もちろんコンビニなんてない。昨晩、伊香保温泉でお土産を買っておいてよかった。四万温泉街はコンパクトなサイズ感なので1~2時間位で歩いて回れる。

看板がレトロな土産屋も閉まっていた。

四万温泉街は昭和時代から時が止まったようなレトロな看板が至る所にあって、古い町並みが好きな私には楽しい♪

四万温泉のフォトジェニックなスポット、積善館本館(Shimaonsen Sekizenkan)
元禄四年に建てられ、現存する日本最古の木造湯宿建築と伝えられている。
群馬県の重要文化財にも指定されている歴史的価値の高い本館は昔ながらの湯宿建築の雰囲気を今もなお色濃く残す希少な建物。
ジブリの「千と千尋の神隠し」のモデルになったと言われている積善館。
実際に宮崎駿も映画制作前にここへ訪れたそうだ。

朱色の橋と積善館は絵になる。灯りがともされた夜の積善館の写真を見るとまるで「千と千尋の神隠し」の舞台のようだ。

橋の手前にある、「薬膳や向新(むこうしん)」でランチすることにした。「薬膳や向新(むこうしん)」は薬膳粥と薬膳茶がメインのカフェ。
伝統と新しさを融合させた、体に良い食事を提供するカフェ。

四万温泉、いや群馬で一番スタイリッシュな和カフェじゃないかしら。
なんといっても建物や窓からの景色が重要文化財の木造建築だし。

薬膳お粥セット 1,200円
(薬膳とまと+緑豆粥+小鉢品+薬膳茶)
清熱、精神安定。体に溜まった余分な熱を取りデトックスを促進。
お粥と言ってもしっかり味が付いていて、とても美味しかった。
薬膳茶はちょっと苦みがあって漢方みたい。良薬口に苦し。

他にも全5種類のお粥セットあり。
ドリンクはポットで出す薬膳種、冷たい薬膳ドリンク、薬膳コーラ、アルコールなど。

店内では、薬膳の購入もできる。スタッフが体質に合わせた薬膳を案内してくれるそうだ。
ストレスで体調不良に悩む人には、薬膳料理と温泉で体の内側と外側から体質改善するのがお勧め。

【薬膳や向新(むこうしん)】
OPEN:11:00~16:00(15:30ラストオーダー)金・土・日曜日・祝日・連休のみ営業

薬膳ランチの後は、積善館で日帰り入浴をした。
積善館本館と元禄の湯は直前まで改修工事をしていたまだ一部工事中のようだ。

レトロな女湯の入口。ドアを開けてのぞくと女湯には誰もいなかった。ラッキー!貸切。
奥にコインロッカーもあるが、浴場と脱衣場が一体になっているので、荷物はかごの中にいれておいても大丈夫。

<積善館本館の元禄の湯>
昭和5年に建てられた「元禄の湯」は大正ロマンの雰囲気を感じられる、洋風・モダンな建築。タイル張の床に5つの石造りの浴槽が並ぶ特徴的な作りで、国の登録有形文化財に指定。アーチ形の窓から差し込む光が明るく芸術的。
湯加減もちょうどよく、気持ち良かった。シャワーは一つしかないので基本的に浸かるだけ、歴史的建造物を見て楽しむお風呂といった所。

四万温泉は保湿・美肌効果のある塩化物・硫酸塩泉。
温かいまま飲むと胃腸が活発に。冷たくして飲むと便秘に効果があるとされている。

<積善館本館の元禄の湯>
日帰り入浴 12:00-17:00(最終受付16:00)
元禄の湯 1500円(フェイスタオルつき) ※現金払いのみ

積善館で薬膳と温泉が癒す力で心も体も満たされたところで、街歩き再開。

落合通りはスマートボール屋やノスタルジックなお店が並ぶ小さな通り。
四万温泉では飲食店を殆ど見かけなかったが、この通りに蕎麦屋や町中華屋があった。

私の幼少時代(もちろん昭和)のような、ノスタルジックな商店街。事前にネットで見たレトロな飲食店の看板も老朽化のためか取り外れていた。殆どのお店はシャッターが閉まっていて、静まり返っていた。

落合通りはさびれてはいるが、あまり陰気なイメージはなく、むしろなんだかほっこりする通り。四万温泉全体、なんだか応援したくなる町なんだよね。

そんな中で唯一存在感を出していたのが、スマートボール柳屋。
最初に店に入った時はなんと満席!壁には有名人のサインがびっしり張られており有名店のようだ。伊香保温泉は射的屋が多く、四万温泉はスマートボールがいまだ人気。

実はスマートボール柳屋で、おかみに荷物預かり所がないか尋ねたところ、困った私の旅行バッグとダウンコートを預かってくれたのだ。
優しいおばちゃん、どうもありがとう!

落合通りはすぐに見終わってしまったので、歩いて桐の木平商店街へ戻って柏屋カフェでお茶した。二つの味が楽しめる柏屋カレーなどの人気メニューのほか、手作りスイーツ、本格スペシャリティコーヒー、ランチなどを取り揃えているカフェ。

柏屋カフェに入ると若い観光客で2F は満席だった。
かわいい和雑貨の土産が並ぶ1F席で温泉マークカプチーノ(700円)を飲んで休憩。
向かいに焼きまんじゅうが見えるので、ケーキはやめて、温泉街らしく饅頭を食べることに。

島村で焼きまんじゅう(300円)を食べた。
焼きまんじゅうは、お餅みたいな味を想像していたが、思っていた触感と違った。
甘辛の味噌ダレで焼いた饅頭の皮はパンの様な触感。すごく食べ応えあり。店主もいい人だった。四万温泉の人はなんか皆優しいな。

最後に山口の方へ移動。
山口川音の足湯は冬季休業中だった。

バス停の近くにある足湯のある茶房「おきなや」

バス停「山口」は、なんだかほっこりするバス停。
山口には清流沿いに温泉旅館が並び、清流を見ながら露天風呂につかれる。
私も四万山口館で日帰り入浴しようと思っていたのだが、積善館のお風呂に入ってしまったので時間がなくなった。田舎はバスの本数が少ないので常に時計とにらめっこ。

東京までの帰路は中之条駅から特急草津に乗り上野まで帰った。

あまり観光化されていない四万温泉だが、ノスタルジーな街並みにちょっぴり癒された。
今回は日帰りで四万湖に行く時間はなかったけれど、夏に来ればまた違う表情の四万温泉を見ることができそう。中之条ビエンナーレの開催時期にまた来て日帰り温泉に立ち寄るのも良いかもしれない。

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